麻黄剤といえば、
No.1,2,19,27あたりが有名
基本骨格はすべて「麻黄+桂枝」

麻黄剤といえば有名どころの漢方がすぐに思いつく。基本骨格は「麻黄+桂枝」で水を汗としてさばく、表寒の方剤だ。

【基本処方:麻黄湯(詳細は麻黄湯とその派生処方 その1参照) 】
麻黄湯といえば、有名な発汗剤だ。つまり表証用の方剤である。そして、咳にもよく奏効する。

No.27(麻黄湯):麻黄、桂枝、杏仁、甘草

適応:外感風寒表実証

「麻黄+桂枝」で発汗を促し、「麻黄+杏仁」で鎮咳・平喘作用をあらわす。そして甘草は発汗過多による消耗を防止するため、つまり緩和の目的で配合されている。

インフルエンザやカゼなど(外感)で、急に悪寒(風寒)や発熱、頭痛、咳、鼻汁など(表証)が生じ、無汗(実証)の症状に適している。

もっとも大事な点は「汗」である。自汗なら麻黄湯ではなく桂枝湯が適応となる。そして、麻黄湯は強力な発汗剤であるので、汗が出たら中止し、長期間使わないようにしたい。また、汗の出やすい虚弱体質者への使用は避けるべきである。

【麻黄湯の派生処方】

 No.1(葛根湯):葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草

適応:外感風寒

麻黄湯からの派生とも、桂枝湯からの派生ともいえる葛根湯はちょうどその中間のイメージで捉えるとよい。詳細は桂枝湯とその派生処方 その1を参照。

比較的体力がある人の熱性疾患の初期にむいているが、杏仁が抜けているので咳にはあまり効かない。鼻閉にはよいが、葛根湯加川芎辛夷のほうがなおよい。

 No.2(葛根湯加川芎辛夷):葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草、川芎、辛夷

適応:外感風寒・鼻不通

その名の通り、葛根湯に川芎と辛夷を加えると葛根湯加川芎辛夷となる。血のめぐりをよくする川芎と鼻をひらく辛夷。組み合わせることで排膿・鎮痛・消炎効果を発揮する。

さらに辛夷には他の生薬をひきつれて鼻に向かう性質がある。鼻閉を主症状とするアレルギー性鼻炎や蓄膿症の鼻閉や後鼻漏に効果がある。

 No.19(小青竜湯):麻黄、桂枝、甘草、芍薬、半夏、五味子、細辛、乾姜

適応:外感風寒・水飲内停、寒痰の喘咳、風水

麻黄湯から杏仁を除き、芍薬以下の生薬を加えると小青竜湯となる。加えられたものの多くは温性かつ燥性で、除かれた杏仁は潤性。つまり全体として表寒証・湿証向きの方剤となっている。

風寒(急に悪寒)により水飲(胃内停水)が生じると肺の働きをにぶくしてしまう。風寒を除かなければ水飲の生産は止まらない。ゆえに水飲だけでなく風寒にもアプローチをする必要がある。

表寒証・湿証向きの小青竜湯は、表寒を伴う喘息・呼吸困難に対する代表処方となる。

小青竜湯といえばアレルギー性鼻炎に汎用される方剤だが、薄くて色い痰を伴う喘息様の咳や呼吸困難には適している。

【投薬時の注意点】

麻黄を含む方剤に共通する注意点: 麻黄には交感神経や中枢神経の刺激作用があるので、興奮、不眠、血圧上昇、動悸、頻脈、発汗過多、排尿障害を引きおこすことがある。とくに、証が異なる場合(不適応)や麻黄の量が多い場合には要注意。

「麻黄+桂枝」に共通する注意点(No.1、2、19、27):虚弱の汗をかきやすい体質には適さない。

No.2(葛根湯加川芎辛夷):鼻に熱感がある場合や黄色の鼻汁の場合は適応ではない(辛夷清肺湯が適)。

 No.19(小青竜湯):肺陰虚(空咳や咽喉部の乾燥感)や肺熱証(黄色い痰、喀血)などには適さない。