四物湯からの派生処方「温清飲」
内熱を除く重要な処方
温清飲の派生処方について

風(ふう)とは、ここでは単純にウイルスやアレルゲンなどの病邪を含んだものとイメージする。これに内因としてある内熱が結びつき「風熱」となる。

【基本処方:四物湯と温清飲】

血が不足したものを血虚といい、これを補うものを補血剤という。四物湯は補血剤の基本処方。漢方では「四物湯を忘れると、女性疾患の治療はできない」といわれている。

 No.71(四物湯):地黄、当帰、芍薬、川芎

適応 : 血虚

この四物湯に清熱解毒の黄連解毒湯(No.15)を合方すると「温清飲」になる。

 No.57(温清飲):地黄、当帰、芍薬、川芎、黄芩、黄連、黄柏、山梔子

 適応 : 血虚、血熱

 四物湯が血液の循環を改善し、黄連解毒湯が炎症を抑える。温清飲は内熱(身体にこもった熱)を除く重要処方であり、ここからの派生処方に荊芥連翹湯と柴胡清肝湯がある。

【温清飲の派生処方】

 No.50(荊芥連翹湯):地黄、当帰、芍薬、川芎、黄芩、黄連、黄柏、山梔子、柴胡、桔梗、薄荷、連翹、甘草、荊芥、防風、白芷、枳殻

適応 : 内熱に伴う上焦風熱

温清飲に柴胡以下を加えると荊芥連翹湯になる。内熱に伴う上焦(胸より上)の風熱を治療する方剤だ。

臨床では、慢性副鼻腔炎や中耳炎、耳下腺炎、にきび、慢性咽頭炎などに用いられる。ただし熱証を治療する方剤なので、その症状は鼻水なら黄色、咽頭部は腫れ、にきびは赤いといったものになる。 

 No.80(柴胡清肝湯):地黄、当帰、芍薬、川芎、黄芩、黄連、黄柏、山梔子、柴胡、桔梗、薄荷、甘草、牛蒡子、天花粉

適応 : 肝経風熱

温清飲に柴胡以下を加えると柴胡清肝湯になる。荊芥連翹湯とよく似ているが、本方剤では柴胡が肝への案内人として働くため、肝経の風熱に効果がある。

肝経とは、肝を中心に免疫や自律神経の調整をつかさどる経路をさす。ゆえに柴胡清肝湯は、皮膚のかゆみや赤み、怒りやすい、神経症、熱感、咽頭の腫れや痛みなどに効果がある。

また肝は目に通じるから、アレルギー性結膜炎の目の充血やかゆみ、まぶたの腫れなどにも効果がある。

【投薬時の注意点】

この二剤は似ているので注意点も同じ。

No.50(荊芥連翹湯)、No.80(柴胡清肝湯):

冷たいもので胃腸障害を起こしやすい方には注意する。
手足の冷えや寒がりなどの冷え症の方はさける。